名古屋大学大学院・工学研究科・結晶材料工学専攻
財満研究室
最終更新日: 2010/7/14

研究テーマ

次世代ULSIデバイスに向けた半導体物理の基礎的研究および材料・プロセス技術の研究開発

 現代の高度情報化社会を支えるシリコン(Si)系超々大規模集積回路(ULSI)の高速化、大容量化、小型化や低消費電力化は、これを構成する基本素子である金属-酸化物-半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)の極微細化と高集積化によって達成されています。

 一つ一つのMOSFETは、様々な薄膜材料の積層構造から構成されており、現在ではこれらのサイズはナノメートル(1nm=1000万分の1cm)で表される大きさにまで微細化が到達しています。すなわち、Si系ULSIに関わる工学技術は、現代において最も広く応用が進んでいるナノテクノロジーの一つです。

 携帯型ネットワーク端末、高精細デジタルテレビやハイブリッドカーを始めとする次世代の交通機関など、エレクトロニクス機器の応用分野の広がりにともなって、ULSIには更なる高機能化、高集積化、省電力化が望まれています。これらの要求を達成するために、今後の半導体技術においては、ゲルマニウム(Ge)や希土類系金属酸化物膜などの、“より優れた物性、機能を持つ多様な薄膜材料の探索と創成”、“新規材料薄膜からなる界面構造を原子尺度で制御できるプロセス技術の構築”が必要不可欠です。さらに、“これら新規材料・界面の物性に関する科学的理解に基づいた次世代デバイス構造の設計”も重要な課題です。

 私達の研究室では、以下に挙げるようなテーマに沿って、SiおよびGe系次世代MOSFETの実用化に向けた各種薄膜材料の探索、表面・界面物性の解明とその制御、ナノスケール材料・プロセス技術とその評価技術に関する教育、研究開発を行っています。

デバイス高速化・高性能化に向けたIV族系半導体ヘテロエピタキシャル成長技術

次世代超高速デバイスに向けた半導体材料として期待される、高品質なひずみSiおよびひずみGeチャネル層、さらに、これを実現するためのSiGeやGeSnバッファ層などのIV族系半導体単結晶薄膜のヘテロエピタキシャル成長プロセスを開発しています。透過電子顕微鏡(TEM)やX線回折(XRD)法などを駆使した結晶構造解析から、成長層内の結晶ひずみ、転位、欠陥構造を解析し、これらを制御した薄膜成長技術の確立を目指しています。

GeSn/GeやSiGeC/Siなどのヘテロエピタキシャル構造の成長過程や各種半導体結晶表面を、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて原子スケールで観察・評価することにより、エピタキシャル成長や初期酸化反応などに対して、基板の構造や他の元素の添加が与える効果を解明しています。更に、これらに基づいて、優れた物性が期待されるIV族系半導体ヘテロエピタキシャル薄膜成長技術を開発しています。

極微細MOSFETのための金属ゲート/ 高誘電率ゲート絶縁膜構造

新しい高誘電率絶縁体薄膜(High-k)材料として期待されるPr2O3、(La1-xAlx)2O3などの希土類系金属酸化物材料の成膜技術と、その結晶構造及び電気的特性の相関性について研究しています。また、ラジカル窒化法などを駆使したHigh-k/Ge界面反応の制御技術開発を行っています。高分解能TEM観察および高輝度放射光施設SPring-8における硬X線光電子分光法などを駆使して、極薄絶縁膜表面および半導体との界面構造を原子スケールで観察し、電気的特性との相関解明を目指しています。
 半導体基板上の初期酸窒化膜、High-k膜などの局所構造を、原子間力顕微鏡(AFM)およびSTMなどを用いて原子スケールで観察、評価する手法を研究しています。ラジカル窒化法を用いて形成した極薄シリコン酸窒化膜やALD法によって堆積したHigh-k薄膜の原子スケール観察、および電流検出型AFMを用いた局所的な絶縁破壊現象の観察・評価を行うことで、次世代の高性能ゲート絶縁膜形成法に貢献できる知見の獲得を目指しています。

極微細・超低抵抗・超平坦コンタクト のための金属/半導体界面反応制御

NiSi、CoSi2等の金属-Si化合物(シリサイド)形成における金属/SiおよびGe接合界面の固相反応と、金属/半導体界面電気伝導特性の相関性を研究しています。また、CやGe、Tiなどの第三元素導入による金属/SiおよびGeナノコンタクトの反応および物性制御技術を検証し、将来のULSI素子に向けた超低抵抗コンタクトの実現を目指しています。

新世代デバイスに向けたナノ構造形成および 観察技術

超高真空急速熱処理化学気相成長(UHV-RTCVD)装置の開発、および原子層成長(ALD)法を用いた希土類系金属酸化膜の成長技術開発などを通して、新世代の半導体デバイスに向けたナノスケールの極薄膜形成技術の確立を目指しています。

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